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インドの話

深夜特急〈3〉インド・ネパール (新潮文庫) インド・オブ・ザ・デッド [DVD] ウルトラヘヴン1<ウルトラヘヴン> (ビームコミックス) 彼方より―諸星大二郎自選短編集 (集英社文庫―コミック版) 人間仮免中つづき (ビッグ コミックス〔スペシャル〕) 食べて、祈って、恋をして ダブル・フィーチャーズ・エディション [DVD]

 

 

年始、インドに行ってきました。行く前は、予防接種を数本打った時点で「あ、もしかしたら大変なところに行くんだろうか…」と戦々恐々していたのですが、行ってみたら、言葉にするのを放棄したくなるくらい刺激的な、またすぐにでも行きたくなるような場所でした。南のバンガロールから入ったのも良かったのかな。バンガロールはまるで、ちょっと汚いシンガポールのようでした。インド国内は飛行機で移動をしたのだけれど、何がすごいって1時間強のフライトでも必ず食事が出るところ。しかも美味しいカレー。

北はデリー、バラナシ、アグラとまわり、オールドデリーガンジス川へ向かう道々で見た聞いた感じたことをどうやって言葉にしようと悩ましく思っていたけれど、帰国してから『深夜特急』を読んで、ああこれじゃん、心配しなくても文字になっていたよ、と楽になったような気分でした。二十歳の頃に読んでいたら人生が変わっていたかもな。それにしても、行く前にも、行った後にも面白いなんて。

 

インドから帰ってきても何となくインドインドしていて、普段ならまず観ない世界の現地妻インド編、みたいなものにチャンネルを合わせたり、インドカレー屋を開拓したりしていて、そんな折に見つけた「インドオブザデッド」。インドに行ったからこそのおもしろさだとは思うのだけど、「ゾンビ?ここはインドだぜ」「グローバリゼーションだよ」って掛け合いとか、九九が言えない最近の若者とか、インドネタがうまくできてる。それにしても、英語とそれ以外の言語をナチュラルに混ぜて話している(ように聞こえる)のだけれど、あれはどういう文化的背景があるのか、とっても気になります。

 

インドから帰ってきて、「インドっぽいよ」と夫に勧めた『ウルトラヘヴン』、確かにインドっぽいと好評でした。旅行中は、あんな風に情報と快感が身体を過ぎていく一週間でした。一方で、インドで確かに感じた手触りは、誰もがその人の人生を生きている、という素朴な事実です。私はどこか、例えば諸星大二郎「生物都市」のように世界を捉えていたところがあって、他人のことはどこか他人事(まあ、他人だから当たり前と言えば当たり前なのだけれど)という節がありました。けれど、インドに行って、今まではまるで風景のように思っていた距離感の人たちがぐっと輪郭を持って迫って来た時、圧倒的に誰もが皆自分の人生を生きていると認識させられました。

帰国して、心待ちにしていた『人間仮免中つづき』を読み、卯月妙子はあとがきに「漫画からすっかり毒っ気が抜けて…」と書いていたけれど、私には全然そう感じられませんでした。続いていく日常は恐ろしいものだとつくづく感じます。そんな恐ろしい日々に、皆、自分の人生を置いているのだなあ。

 

私も自分の人生を生きよう、と、張り切って窓ガラスを拭き始めた日曜日、BGMは「食べて、祈って、恋をして」。そう、これもインドね。