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keep in touch

崩れる 結婚にまつわる八つの風景 (角川文庫) おいピータン!!(1) (Kissコミックス) 東京タラレバ娘(1) (Kissコミックス) 同窓生代行―売野機子作品集2 シティ・オブ・ゴッド [DVD] ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2 2枚組(Vol.1&Vol.2) [DVD]

 

 

「忙しい時ほど、とにかく何か読まなくちゃって、夜倒れ込んだ布団の中で貪るように海外ミステリを読んでいたのよね。忙しい現実から離れられる、違う世界があることが支えになっていたというか。」という話を聞いた時、つくづくその通りだなあと実感しました。特にミステリの、軽快に読み進めることができるそのリズムが疲れを癒してくれることを知ったのは、30歳を過ぎてからのことです。

久しぶりに手に取った貫井徳郎の『崩れる』は、自身があとがきに書いている通り、読み終えてみれば一連が習作としてよくわかる一冊でした。内容というより、一冊を通じて書き手のプロセスが感じられるような、そんな瑞々しさがあります。

 

バタバタと忙しい時期を過ぎてホッと息をついた時、たまに、どうしようもなく寂しくなることがあります。歳を重ねるにつれ、しばらく連絡をとっていなかった友人にメッセージをタップする指は重くなり、こんな風にしてしまった自分の不精にただただ情けなるばかり。英語の中で一番好きな表現、keep in touch をしていられるくらい、日々の生活に余裕を持っていられたら…なんて考えていたら、偶然 Facebook で友人の誕生日の知らせを見つけ、久しぶりの連絡ができました。年賀状未満の keep in touch の方法を作ってくれた Facebook に、ただただ感謝するばかり。気楽に過ごしている時は『おいピータン!!』モードなのに、そうでなくなると難しそうな問題が山ほど目に止まってしまう日常は、おもしろくも苦しいものです。

羨ましいくらいのkeep in touch 、あんな女子会には縁がなかったのに、『東京タラレバ娘』はどこか他人事と思えなくて、あんな風に友達といたいという羨ましさと、この辛さ知らないわけじゃないわ、という共感がないまぜになる不思議さがあります。(関係ないけれど、『先生の白い嘘』は辛くなり過ぎて新刊に手が出せない。)

かつての友人と繋がることができるソーシャルメディアは、あの頃同じ場所にいた彼女とは、もうこんなにも大きく道が別れてしまっているのか、と自覚せざるを得ない強い力も持っています。その意味で、売野機子『同窓生代行』のような、潔くかつての思い出のままにあろうとするところから始まる関係性は、どんどん貴重になってしまっているのだろうな、と思います。ソーシャルメディアに助けられ形作られる、緩く長く、時に生まれる軋轢も時間をかけてぼやかしてしまう関係は、例えば「シティ・オブ・ゴッド」に描かれるものの対極にあるように感じます。

 

ところで、私にとって生活の落ち着きとは、おそらく単純に時間の問題というわけではなく、多少抽象的だったり読解を求められるような文化に触れる余裕のことなのではないかと最近思います。「ニンフォマニアック」を観に行けるくらい、かな。