格好つけから始まった

バッファロー'66 [DVD] 眼球譚(初稿) (河出文庫) 過去のない男 [レンタル落ち] 彼岸島(1) (ヤングマガジンコミックス) 金田一少年の事件簿 File(1) (週刊少年マガジンコミックス) デスパレートな妻たち シーズン8<ファイナル> コンパクト BOX [DVD]

たまに、学生に「大学時代にしておいたほうがいいことって何ですか?」という質問をされることがあります。見田宗介の『社会学入門』を読んで、ページを捲るドキドキを感じてごらんよ、なんて言いたくなるけれど、でも、強いていうなら「格好つけて本を読んだり映画を観てごらん」ということです。10代も終わりの頃に初めて観た「バッファロー'66」はちんぷんかんぷんだったし、3本立てで観たトリュフォーは今だって難しい。それでも、格好つけて歩みを進める中で、意外にも、格好つけと関係なく面白いと思えるものに出会えることがあります。そして、そういうものは、案外といつまでも自分の核となる部分を支えてくれるものです。

もともと社会学のタームとして知っていたバタイユを、『眼球譚』で読んだ時の衝撃は、もう筆舌に尽くし難いものでした。岡崎京子だかホイチョイ・プロダクションズだかに若者は眼球を舐めるという話があって、その話がここで繋がるという静かな感動は、物語の内容と同じ官能を帯びたもので。そういえば、ポレポレ東中野にわざわざ足を運んで観たアキ・カウリスマキ過去のない男」も良かった。ああこれは、大学生の頃にこそ存分に楽しみきることができる退屈で刺激的なシュールさだな、とわけのわからない感想を思ったことを覚えています。(そして映画館からの帰り、駅沿いの道の心地よさと言ったら、もう。)

 

一方で、格好つけとは真逆の、あまりおおっぴらには言わないけれど摂取してしまうような類のものも確かにあって、例えば最近は『彼岸島』、読んでいるうちにどんどん焦燥感は増すばかりなのに、読み終えてみれば心にぽっかりと穴が空いてしまったような手持ち無沙汰を感じてしまう。かつてそれは『金田一少年の事件簿』でした。もう何度も読んだのに、毎回オペラ座の怪人が出て来る時にはつい後ろを振り向いてしまったりして。「デスパレートな妻たち」も同様です。強烈な文化体験とは言い辛いけれど、地味なのにそれなりにでこぼことした日々を歩き続けるのに欠かせない存在です。